1.自分に意識を向ける

自分のことは誰よりも自分がよくわかっていると信じたいのですが、意外と自分のことはよくわかっていないものです。

自らの認知行動(考える、感じる、記憶する、判断すること等)を客観的に認識する「メタ認知」が十分にできないこどもにとって、一人ひとり異なる個性を周囲の方々が理解して、個に応じた生活・学習アプローチを提示すること、働きかけることが重要です。

2.個別に最適な学び

こどもの教育現場においては文部科学省が「個別に最適な学び」を打ち出しています。いまや多くの中学生や高校生は、膨大な学習履歴のデータからAIが一人ひとりのつまずきに合う問題により個別に最適な学びに取り組んでいます。しかし、これは受験という一定のパターンに沿う条件下においては効果を発揮する可能性がある一方、人間には(脳の)個性があり、メンタルヘルスや環境要因によっても学習効果は左右されます。

就学前や就学前後のこどもの場合は、AIによるパターン学習的な要素が機能しにくい一面があり、また学習につまずきや困難を抱える児童の数が爆発的に増えています。このような事実の背景には様々な要因があり、デリケートな問題でもあるためここで安易に語ることは避けたいと思いますが、このような教育現場での困りごとをサポートする事業者が増えており、どの事業者も基本的には「個別に対応すること」を原則として運営しています。学習塾におけるトレンドは、従来型の一斉指導から個別指導へと移り変わっています。

3.脳の個性を測る取り組み

わたしたちが事務局を務めている一般社団法人ワーキングメモリ教育推進協会では、こどもの脳の個性を把握するためにワーキングメモリに特化したアセスメントHUCRoW(フクロウ)を実施しており、全国から多くの受検希望者からお問い合わせをいただいています。

「HUCRoW」とは広島大学大学院教授で一般社団法人ワーキングメモリ教育推進協会代表理事の湯澤正通先生が開発したアセスメントです。このアセスメントにより、一人ひとり異なる脳の個性を先生や保護者が理解して日々の関わりを見直す取り組みが広がっています。

アセスメントは何かの病名をつけるためのものではありません。科学的に脳の個性を知るためのデータであり、一人ひとり異なる個性・特性を伸ばすきっかけとして利用すると良いでしょう。