1.ジェネレーティブAIの登場

最近はジェネレーティブ(生成)AIの進化によって驚くべきサービスが続々と登場しています。

米国Gartner社は、2022年「戦略的テクノロジーのトップ・トレンド」にて「ジェネレーティブAI」を以下のように定義しています。

「ジェネレーティブAI」とは、「コンテンツやモノについてデータから学習し、それを使用して創造的かつ現実的な、まったく新しいアウトプットを生み出す機械学習手法」

話題の対話型AI「Chat GPT」を使うと、相当に高度な検索力、提案力、コミュニケーション能力を兼ね備えた仲間が増えたような印象を抱いてしまいます。

2.主体性の出番

ジェネレーティブAIを業務に利用するか否かは企業ごとの判断になりますが、このような技術の進化によって「人間にできること」を再定義して、今後は同じ職場で働く仲間や部下には、より「主体的な取り組み」が求められることでしょう。

ジェネレーティブAIが導きだす解は完璧なものではありませんが、私たち人間にできることは、課題を発見し、適切に使用することで、より良い解を導くための「主体性」です。

話は変わりますが、実はこどもの教育現場(学習指導要領)では、「主体的・対話的で深い学びの実現」が謳われており、授業や入試等において従来型の学習とは異なる取り組みが始まっています。

さて、思考、感情、創造性を司る脳の部位に前頭前皮質があります。この部位に局地的にはたらきかけることが主体性を育むというわけではありませんが、(創造的な)思考を司る部位の重要性は「主体性」を育むにあたって増していくことでしょう。

前頭前皮質とは、前頭葉、前頭前野、前頭連合野とも呼ばれ、人のおでこの裏から頭頂部にかけてある大きな部位で、思考力や創造力を担っています。

「主体性」を育む職場の環境、コミュニケーション等を通して、ジェネレーティブAIと並走する姿勢が私たち一人ひとりに求められており、これは、脳のワーキングメモリを使う研修のデザインやワーキングメモリにはたらきかける学習の機会を設けていくことも大切なことです。

同僚や部下が気合と根性で「主体性」を態度で示し、それが評価される方法は世代の移り変わりと共に受け入れが困難なものになっています。

経験則の重要性は依然としてありますが、ここに脳科学の視点を取り入れて人財育成にさらに磨きをかけることで個々の主体性を引き出し、関わる事業や企業のパフォーマンスが向上することを願っています。